そして特に狙ってはいなかったが
わたしは彼と同じ共学の工業高校に入学。
共学とは名ばかりで
全国の女子高生があこがれる
少女漫画に出てくるような共学ではなかった。
クラスは専門学科に分かれていて
私は家政科で女子だけのクラス、
彼は工業科で男子だけのクラス。
半男子校、女子校状態なのだ。

おまけに必要以外は工業科、
家政科の棟には基本的に立ち入り禁止。
誰が決めたんだ、このやろう。
出会いの場といえば食堂くらい。

まぁ、校舎こそ違うものの
行き帰りの通学はだいちゃんと
一緒だった。そんな何気ない
スクールライフがこれから続くんだと
思っていたが現実はそううまくはいかない。
なんと彼がトイレでタバコを吸っているのが先生にバレて謹慎処分に。

そうなると彼は学校は性に合わないと退学したのである。
性に合わないとはなんだ、馬鹿野郎。
学校生活に性もくそもあるか。
こんなことでこの先大丈夫か?
とてつもなく心配になっている私を
よそに、彼は父が自営業している
鉄筋屋で仕事を始めた。
でも仕事は楽しいらしく、今もしっかり続いている。

なにはともあれ、
その時の私は華の女子高生JKである。
JKといういわばブランド品である。
ぴちぴちキャピキャピ、なJKである。
最後にもう一度、JKである。(笑)
今思えばもっと色んな恋愛を愉しめばよかったものの
私は素直に彼氏だけを一途に思い続け、高校を卒業。
私が通っていた工業高校は県内の高校の中でも
トップクラスの求人数、合格実績があったが
どうせ働くならば一度は憧れたのとのある
仕事がいいと、観光バスのバスガイドになった。

やり甲斐がある仕事で、
仕事の場数が増えるごとに
案内することが楽しくて楽しくて仕方なかった。
でも仕事は楽しいばかりではない。
先輩やお客様に泣かされたこともある。
疲れてヘトヘトでもう辞める!
と、何度も思った。私には向いてない!
そう思ったこともある。
それでも『ありがとう!』『楽しかった!』『また一緒に行こな!』
そんな声を頂くとそれだけで、
疲れも吹っ飛んで辞めたいと言っていた
事なんて忘れてしまった。
その度に私はこの仕事に向いているんだな。
なんて自惚れてみたり、なんだかんだいっても
この仕事が楽しくて仕方なかった。