ある美術館で、私は出会った……鉄の処刑具である、アイアンメイデンに。
どこか悲しい表情をした、その顔はまるで、処刑された人達の哀しみのようだ……私は、アイアンメイデンをずっと見ていたらしく、気づけば閉館間近であった。急いで帰ろうとすると、どこからか
「連れてって」
と声がした。女性の声だ、しかし、周りには人がいない……私に、話しかけてくるのは誰なんだろう？

次の日、仕事に向かうため、急いで準備をして、外に出た……が、すぐに立ち止まってしまう。そこには、昨日、私が見ていたアイアンメイデンがあった、しかも、こちらを見ている。最初は誰かのいたずらかと思い、美術館に電話をした、が、もう展示する必要がなくなったと言って、切られた。それにしても、先程から、こちらをまじまじと見ている気がする。恐る恐る、視線から外れようとすると、急に首が動き出し、私を目で追っている！嫌な予感がして、会社に休みを報告するした。柵より、先に行けば、襲って来る気がした。周りの人も、まるで、爆弾解除を目の前で見ているかのような目で見ている。慎重に進み、柵を超えた瞬間、アイアンメイデンは開きだし、私を目掛けて飛んできた！とっさに避けたが、どうやら、もう柵は関係ないらしい。そして、心のなかで思った
……逃げなければいけないと