「…さ。み、さ」

…ん。
頭上から聞こえるお母さんらしき声。

「みさ!」

「ふぁあ!」

土曜日の、のんびりできる朝。
いつもなら熟睡しているはずの時間に、
珍しくお母さんが起こしに来た。

「あのね、美沙…」

「ん…なに?」

口ごもるお母さん。
目はかすかに赤くて。
…嫌な予感。

なにかを悟ってしまった私は、
なにがあったのか聞くのを
躊躇(ためら)ってしまった。

「っ亡くなったの。おじいちゃん…」

流れていきそうな涙をこらえながら、
お母さんはそう言い切った。