―キ-ギギギィィィ

屋上のドアを開けたら、少し錆びたような音が響いた。

ここからみえる風景は、
それほどなものではなくて。

何もないと言ってもいいくらいだけど、
私の大好きな場所。

目の前に広がる景色へ足を踏み入れると、
すぐにビュンと強い風。

「うわあ!風つっよ!」
私、森岡 美沙(モリオカ ミサ)の隣で、

親友の瑠璃が身震いしながら言うもんだから
思わず笑っちゃった。

「あっはは。瑠璃ってばおおげさ~」

「いやいや、この寒さは異常ね」

「確かにね」
ふはっ。二人で顔を見合わせてから笑う。