「お姉さんどこのお店で働いてるの?
うちの方が絶対稼げるからさ、取り敢えず連絡先教えてよ」




「や、やめてください…。」



透き通るような綺麗な声に引き寄せられて
声のする方へ顔を向けると、どこか見覚えのある女が
困った顔をして行く先をふさぐ大柄な男と話をしていた。




「キミ可愛いからさぁ、うちで働けば絶対人気出るよ。
ほら番号だけでも」





「本当に大丈夫ですから…」





そう言って女の肩に馴れ馴れしく腕を掛ける男。





「あの…、困ります…!」





「ごめん、日向あとは任せた!」





手に持っていた客のバッグを日向に押し付けると、
俺の脚は声のする方へと向かっていた。





「ちょ、時矢?!」