「尾崎さん、今日は早退ね」

保健室の先生は、職員室から戻ってくると私に言った

「あ、佐々木くん尾崎さん送ってくれる?
尾崎さんのお父さん、忙しいみたいなの
家は尾崎さんに聞いてちょうだい」

それだけ言い残し、先生はまた職員室に戻って行った

「…鞄持ってくる」

薫もまた教室に戻っていった

保健室に1人

窓から入ってくる桜を見つめていた

まるで1人孤独な病室みたいだった

考えれば考える程怖くなってきた

薫は私が好きで

私も薫が好き

もし

もしも、私が死んでしまったら

薫は一人ぼっちになってしまう

寂しい思いをしてしまう

デートにだって行けなくなるかもしれない

話せなくなってしまうかもしれない

一生目を覚まさないかもしれない

薫は

薫だけでも、幸せであってほしい

付き合ってすぐに考えるのもなんだが

やっぱり、私でいいのか不安になる

心に大きなモヤモヤができた