長い坂道をゆっくり登り

やっとの思いで辿りついた沙奈の家

いつもなら、家から出てくる時間

少し遅れてるだけよね

そう思って、スマホをいじっていた

が、沙奈の思い出はいつまで経っても出てこない

出てくる気配もない

このままでは遅刻してしまう

「沙奈ーーーーーーー!!!」

大きな声で叫んでやった

本当に遅刻しそうだ

昨日、夜更かししたのだろうか

ガチャっと玄関が開く

仁王たちで構える私

「もう!!遅刻するよ!!!」

せっかく中学生の頃とは違い、無遅刻無欠席だったのに!

「もう、前田の表札に落書きしようと思ってた」

ニヤッといたずらっぽく笑ってみる

今度遅刻したら、前田を前男にしておこうかな

「まあ、いいや!行くよ!」