「呼んだ?」 一瞬、 とうとう幻覚まで起こしたかと心配になる。 だけど、彼は間違いなく 今学校中で話題になっているあの彼、 私の好きな彼だ。 「氷上さんの顔が見たくなって来ちゃった。」 彼は馬鹿なんじゃないかと思う。 こんな時に何を呑気に私と会話しているんだろう。 少し驚く私を見て、 悪戯が成功した子供のように彼は笑う。 「ずるい。」 私ばかり、 何だか私の方が馬鹿みたいだ。