肝心なあの彼は学校には来ていないらしい。 「ねえ、ゆうり~? 今度こそ諦められるんじゃない?」 彼女いたら駄目だ、 とポッキーをくわえて、 下敷きでぱたぱたと風を起こす棗は言った。 今更諦める何て、 そんな選択肢はもはや私のなかにはない。 「無理。」 そう呟いて、私は教室を出た。 棗は暑くて話を聞いていないみたいだった。