「紗良、らいって呼んで」


クラクラクラクラ、黒山らいの声が回る。



なんだか、今日は変だ。



この甘くて心地のいい低い声が安心する。



少し離してあった手を黒山らいの肩に回す。




ポカポカポカポカ、呪文の、ようにさっきの言葉がうずめく。





肩に回した私の手に黒山らいは少し顔が赤くなったのを私は知らない。



「呼んで、紗良」







「っっっ…らい…」





ここで私の意識は途絶えた。