スローな曲に合わせ繋がれた右手を引き寄せられ、腰に手を巻く。



なんだか、慣れない体勢がぎこちない。




「キノコちゃん、さっきさ本当は怖かったでしょ?」



優しく、そっと黒山らいは話す。



「こ…わくなんかない」



「うそ。泣いてる顔見て怖いわけないだろうがー!」



そう言うと少し軽めのデコピンをされた。



それと同時に足が崩れてバランスが取れなくなる。


「うおっと」



ガシッと腰につく手、細くて綺麗な手。



思わず見とれてしまってハッとする。




「なに…俺にやっと興味持った?」




甘い声、耳元で呟かれクラクラする。




暗い部屋の中、みんなダンスに夢中で周りなんか気にしていない。



「うっ…何言っとるんじゃい」



少しポッとなった顔を逸らすように下を向く。




なんだか、今日は熱があるみたいだ。