ガチャッと出た家。


「ちょっと待てよ」


声と共に長い脚が止まる。



「顔に出過ぎだな〜〜、黒山くん」


ニヤッと笑った。



「ちょっと〜、教育実習生さん。何の用ですかな〜〜」



綺麗な顔が一気に真顔になった。



「こわいこわい!おじさんこわくなっちゃう」



「帰っていいっすか?」



「紗良は渡さないよ」


眼鏡がキラリと光る


「別に俺のもんじゃないんで中川さん」


「キノコちゃんって呼んでたくせに」


ポツンポツン



「あら、雨降ってきたわねえ紗良」


ザーッとする外にお母さんの声が聞こえた。


もちろんそんな会話知りもしない