その子の1日をふと、観察した時があった。



登校し、真面目に勉強して昼休みだけ他のクラスに移動する。



このクラスに友達という子はいないみたいだった。



「キノコさん、オカルト好きらしいよ?」



「えーっ、こわ!お前が幽霊だよって!」




きゃはははは、と、クラスメート達は噂話で盛り上がる。



キノコ…中川紗良はそんな事気にしてないかのように平然と暮らしている。




現代にもこんな子がいるんだなーと思った。




入学して少し経って授業が始まって早々、いつも寝ない彼女が少しだけ寝たときがあった。




メガネの奥の目からは長い睫毛、スースーと静かな寝息。



不覚にも俺はメガネを取りたいという衝動にかられる。




話したことなんてない、ただのクラスメート。