「…やっぱさぁ、俺らもう付き合うのやめにしない?」
 放課後、部活も終わり、いつも通り彼氏と一緒に学校の門を出た時に別れは告げられた。今日の晩ご飯はなにかな〜なんてのんきに話していた途中でのことだった。ポカーンとしている私の正面には笑顔を少しも見せていない彼がいた。
 一瞬、何がどうなったのかわからなかったが、10秒くらい経過してからようやく彼が言った言葉の意味がわかった。私、フラれた!?それがわかった途端、私は慌てふためいた。
 5年間付き合ってきた。特にトラブルもなく、仲良くやってきた。なのに、なんで今、別れようなんて言うの?アンタとずっと一緒にいるために私は猛勉強して合格するなんてありえなかったこの高校に来たんだから!
 高校になっても、毎日一緒に帰ったりしたし!クラスは違ったけど、休み時間には教室まで来てくれた。テスト前は一緒に勉強するのが定番だった。キスはしなかったけど、毎日のように私は彼に飛びつくように抱きついた。顔は決してイケメンではないけど、勉強はすごくできてたし、スポーツもできた。その上、優しくて王子様みたいな奴。
 私じゃダメなの?私はアンタのお姫様にはなれないの?あ~、もうすごくイライラしてきた!
 慌てるな、冷静になるんだ、私!気持ちを落ち着かせるために2回深呼吸した。そして、なんで?と、聞こうとしてみたのに、口に出たのは
「…そうだね…。」
と、正反対の言葉だった。