怒鳴り散らしている美香をなんとか宥めた直樹はコンビニで買ったペットボトルを美香に渡した。
「何これ?」
「持ってれば少しは暖かいだろう」
訝しげに見てきた美香だが、直樹の言葉に美香は素直にペットボトルを受け取った。
今更無駄だとわかってはいたが直樹は雨で濡れている美香も入るよう傘を傾け、ペットボトルを頬にあてている美香を眺めてた。
少しすると美香が表情をしかめた。
「服が身体に張り付いて気持ち悪っ」
そう言って空いてる手で服を引っ張った。
良く見るとカーディガンで透けて見えたりはしなかったが、服が張り付き身体のラインがはっきりとしていた。
「ここじゃどうにもできないな」
「じゃ、早く帰ろ」
溜め息を吐きながら言った直樹の言葉に美香は足を踏み出した。
だが直ぐに足を止めて振り返った。
「これはこのままでいいの?」
美香の目線の先には半分ほど流れてしまっているが、赤い液体の水溜まりがあった。
「朝方まで雨が降るらしいからな。わからない程度には流れるだろう」
直樹はあまり興味を示さず答えると美香と帰路へ急いだ。