美香は聞いた会話を手短に説明した。
殺害日は視界の悪そうな雨の日。
部活帰りで人通りが少ない道。
凶器はナイフ。
「バレるだろ」
「そりゃね」
二人は犯行後の話をしていた。
この殺人は犯行後必ず犯人に辿り着けると。
「上手く行くとも思えんし」
「それは私に殺されろとかそう言う話?」
直樹がそれ以前の事を指摘すると、美香は厭らしい笑みを浮かべ尋ねた。
その美香の表情を見た直樹は溜め息を吐き、
「言ってないだろ、そんなこと」
腰に手を当て呆れ顔で言った。
「それじゃぁ、最低限の情報は手に入ったし…どうするんだ?」
直樹はこれからの事を美香に尋ねた。
対して美香は不思議そうな表情で、
「これからって?」
直樹に尋ね返した。
「一応証拠はあるし、警察行くか?」
何時の間にか仕込んだ、盗聴データの入ったUSBメモリ片手に直樹は言った。
それを聞いた美香は先程より厭らしい笑みを浮かべ、
「馬鹿ね、そんなことする筈無いじゃない」
楽しげに答えた。
「相変わらず性格悪いな」
「お互い様じゃないの?」
直樹が呆れ顔で言った言葉に美香は笑顔で問い返した。

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