「お帰りー」
十分足らずで戻ってきた直樹に美香は声を掛けた。
「やっぱり起きてたのか」
「まぁね」
直樹と会話する美香の耳にはヘッドホンが無かった。
「で、どうだった?」
それを確認した直樹は美香に尋ねた。
尋ねられた美香は難しい顔をして、
「んー…」
唸り声をあげ、机の上に俯せになった。
「…駄目」
俯せになったまま美香は呟く様に答えた。
その様子を見た直樹は溜め息を吐いた。
「で、内容は?」
「内容…ね」

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