平静を装って顔を上げた。
「どうしたんですか、こんな時間に」

「…俺を避けてるから、来た」
「…そ、そんなわけないじゃないですか?」

そう言って微笑んで見せる。

「…涙」
…ビクッ。
そん言いながら、私の目尻を優しく拭った…保田さん。

私は一歩後退して、保田さんを見上げる。

「…勘違いさせる様なことをしたのは、俺だから…
それを正しに来たんだ」

「…勘違い?」

「美雨の親友と、俺の関係」
「…」

その言葉に、何も言い返せない。

「…その前に、部屋に入れてもらってもいいか?」
「…へ?」

困惑した保田さんの目線を辿ると、隣人が
不審な目で保田さん見ていた。

「…ですね、どうぞ」

私は保田さんを招き入れた。