仕事をする気にもならなくて、私はデスクの上だけ片付けると、家に帰った。

…次の日。
行きたく無いが、体調不良でもないのに、休むわけにもいかず、重い身体をおして、会社に向かった。

「…おはよう美雨。…どうしたの?元気ないわね」
何時ものように、優しく声をかけてきた梓。

「…おはよう。ちょっと寝不足で」
そう言って苦笑い。

すると、梓は、私を心配して、おでこに手を当てた。
梓は、本当に優しい人。親友と呼べる大事な存在だ。

それなのに、大地を好きな事も、付き合い始めた事も、何一つ話していなかった。

自分の落度。
それと同時に、大地への不信感。

やっと想いが通じたと思ったのに、こんな悲しい事ってない。

「…熱はないみたいね。あんまり、無理しないでね、また、過労で倒れちゃうよ」

「…うん、ありがとう」