「今週一杯は仕事を休めって医師に言われてる。
それなのに、美雨の事だ、また無理をして仕事に来かねない」

ズバリ言われて、黙り込む美雨。

「俺は、美雨が仕事に行かないように、見張りをする」
「…そんなことしなくても、大人しく寝てます」

「いいや、口だけだな」
「…ぅ」

バレバレな嘘を見破られ、戦意喪失した美雨。

…本当は、傍にいたいんだ。
理由なんてどれでもいい。ただ傍にいてやりたい。

「今日は何の用意もないから帰る・・・。
それに、今の美雨はまだまだ具合もよくないみたいだから、大人しく寝てるだろうし」

「…なんだか全部見透かされてますね」
ポツリと呟いた美雨は困ったように笑った。


「美雨の行動は分かりやすいから」
実際、美雨はすぐに顔に出るタイプのようだ。

…家に着くなり、さっさとベッドに寝かせ、眠るのを見届けた俺は、いったん自宅へと帰った。

…次の日の朝。
身支度を済ませ、会社に向かう。

今日は大人しく美雨は寝ているようだ。
オフィスに、美雨の姿は無い。

ホッと溜息をつき、仕事に取り掛かる。
今日は何としてでも、定時に仕事を終わらせる。

その一心で、仕事に励んだ。
いつもなら受ける仕事も、今日はすべて断り、目標通り定時に仕事を終わらせた。

…どうしても終わらなかった仕事は明日に持ち込んだのだが。
それは仕方がないと目を瞑り、駐車場に行き、車に乗ると、美雨の家に向かった。


「・・・本気だったんですね」
玄関先で、美雨が驚きそう言った。