ラスト・ラヴァー



「あーあ…またギリギリだな…」


彼女の手元を見るなり三谷はため息混じりに言った。

「まぁ、取れなかっただけ奇跡だよな。」

斉木が口を挟む



見ると彼女の制服のブラウスのボタンがとれかけていた。

(この学校の夏服は半袖ではなく、長袖ブラウス)


袖の先にあるボタンはなぜか垂れ下がっていて

一本の糸でかろうじて繋がっている状態だった。


…いまにも取れそうだ。




「でも三谷、今日は頑張った方だよ?
いつもは右手だけで相手の攻撃を止めるのに、
今日は…3割ぐらい左で受けたんだから。」


天城はにっこり微笑む


「……それ、女子高生が言っていい事なのか?」

三谷がポケットに手を突っ込みながら言う。

何かを探すようにポケットをあさって数秒、

三谷は手のひらに乗っかるくらいのコンパクトケースを取り出した。