ショップが並ぶフロアを駆け抜けながら、
履歴から花南に電話を掛けた。
一度もコール音が鳴ることなく、
即留守へ繋がる。
チッ
今日何度目か分からない舌打ちをした。
最悪の事態が頭をよぎる。
あの小さくて細い花南を、
三人の男がどうにかするなんて簡単な事。
きっとろくな抵抗もできない。
あいつが知らない男に捕まっているとこを想像をすると、
味わった事がないくらいの怒りと、
憎悪が生まれる。
まだ誰のものにもなったことのない花南を、
そんな目にだけは合わせたくない。
ベイエリアへの出る自動ドアの前で、
ドアが開くスピードすらもどかしく感じながら
最後はドアを押し開ける様にして外へ出た。

