教室につくと、ちらほら人がいるけど、かほはまだ来てなかった。

ほとんどの人は、廊下で他のクラスの子と話していた。



黒板に貼られていた座席表をみたが、私はやっぱり廊下側の1番前だった。


(まあ、出席番号順だったらそうなるよね〜)

なんて思いながら、机にカバンを置いた。


ふと横の席を見ると、女の子が座っていた。

1人で机に配られていた紙とにらめっこしている。



『ね!名前、なんて言うの?』

自分の席に横向きに腰掛けて、私はその子にそう聞いた。


こちらを向いた顔は、なんとも、《びっくり!》と口からこぼれ落ちそうなほど、目を見開いていた。



「え…?」



うーん。
なんか静かそうな子だなあ。

メガネしててよく分からないけど、たれ目ぽくて黒のショートカットが似合ってて可愛いのに。

『なまえ教えて!』

私は、笑顔でそう聞いた。

するとおずおずとした様子で口を開く。


「神田、美穂です…」

『私、安達りんだよー!1年の時は何組だったの?』

「えと、1組」


『1組かあ。私が3組だったから、知らなくて当然か!美穂ちゃん、また1組なんだね』

「え?あ、はい…」



そんな会話をしてるとハアハア言ってるかほが教室に入ってきた。




「もうさ!本当りん足速すぎ…っ!」

そう言って、かほは私の後ろの席に座った。



『座席表見ないんだね』


「え?だってどうせ、りんの後ろだし」


うん、
たしかに。笑



イスに座って一息つくと、私と美穂ちゃんを交互に見る。