「もお〜。りん、なんでそんなに急ぐの〜?」
お前のせいだ。
と思いつつも、かほのことは無視して私は掲示板に目をやる。
『…まじかいな』
この学校は、1組から4組までクラスが分かれている。
どうやら今年は、わたし2年1組となるそうな…
私の苗字は、安達。かほの苗字は阿高。
去年もそうだったけど、かほが同じクラスになると、だいたい私の次にかほの名前がくる。
「あ、りんまた同じクラスだね♡」
今年もこいつと一緒のクラスだった。
かほは私の腕を掴んで、うんうん、と頷いている。
(これはなんの頷きなんだろう。)
私はそんなことを思いながら、かほを見ていた。
すると、ふと思い出したかのような顔をした後私をみてきた。
「そういえばさ、彼氏とはうまくやってんの?」
『…。…あ、もう8時半になっちゃう!クラスに行かないと!』
そう言って私は、光のごとく、その場を去った。
私には、一応彼氏がいる。
一応、って言ってるけど付き合って半年は過ぎた。
この学校のひとつ上の先輩。
イケメンと言えばそうかもしれないし違うと言われれば違う気もする。
言うなれば、フツメンといおーじゃないか。
私はあんまり彼氏の話はしたくない。
なぜかというと、…。
まあそれはのちのち分かるとする。
階段を上がり、渡り廊下の前のおどり場に来たとき、私は目を疑った。
『あれ…?あの人…』
渡り廊下の先を見つめて私はつぶやく。
でも、予鈴が鳴り私は慌てて教室に向かってまた走り出した。