「…でもー、さすがに引っ張りっぱなしもなんか嫌。」
やっぱり、好きじゃなくなったならハッキリ伝えた方がいいよねぇ。
「ワンッ」
「おー!さくらもそう思うか!」
ただ今さくらの散歩中。
さくらはいつものように軽快な足取りで歩いていく。
すると、向かい側から近所の人が飼い犬を連れて歩いてくる。
さくらは、それに気づくやいなや、ワンワンと吠え出す。
「すすすみません!」
瞬く間に2匹の鳴き声がこだまする。
私は慌ててさくらを抱きかかえて、その場を去った。
「もー、さくら。いい加減慣れなさいよ〜」
と言ってさくらをおろす。
(あ、ここ…)
いつの間にか河原の道までさくらを抱いて来ていたようだ。
気持ちのいい風が、頬にあたる。
(気持ちーなあ…。…て、ん???)
ふと河辺の方を見ると、またまた寝転がっている人が1人。
「…またいる…」
私はなんの迷いもなく、その人にそっと近づいた。
(この間は顔見れなかったから、ちょっと後悔したんだよね…)
なんて、好奇心を抱きながらその人に近づいていく。
が、半径5メートルくらいに来たところで気づかれたのかムクッと起き上がる。
「あ!!!!松浦くん!!!!」
起き上がった彼の顔を見て気づく。
転校生の松浦くんだった。
「…誰だっけ?」
私は松浦くんのその一言に唖然とした。
まあ転校して間もないし、知らないのは仕方ないけど…
一応校舎案内した…よね??
あれ、してなかった…か?
もしかして、妄想だった…
「えと、校舎案内した気がするよーな、しないよーな…」
おずおずとそう呟くと、
「あ、あの人か。」
一つも表情を変えることなく、そう言った。
とりあえず、妄想じゃなくて一安心。
じゃなくて!
「せめて、ああーー!とか思い出した!みたいな顔してくれるといいんですが…」
「…!あ、あの人か」
「うん。もういいよ。二回も」
なんなんだ。
素直か!!
なんて、心の中でツッコミを入れる。
「…それ、君のイヌ?」
松浦くんは、さくらを指差す。
