「さくら〜!こっちおいで!」
私がそう叫ぶと、私の声に反応してこっちに走ってくる。
一生懸命走った後に、わたしに向かって尻尾を振ってくるのがすごく可愛い。
「よーしよし!よく走ったな!」
そう言って、頭を撫でたあと私がさくらにあわせて歩き出す。
(こんなに天気がいい日は、散歩に限るよね〜)
なんて思いながら、河原の道を歩いていく。
季節は3月下旬。
4月に入ると私は高校2年生になる。
つまり、今は春休み!
比較的今日は気温もあったかいし、晴れだし、こういう日は無性に外にでたくなる。
だからこうして、さくらと一緒に散歩に出ているわけだけど
(…。なんか遠くの方に見えるのはなんだ)
河原の草むらになにか影が見える。
「やっべ!私もついに、【見える】一人になったのか?!」
なんて呟きつつ、少しずつ距離が近づくと、ただそこに人が寝転んでいるだけのようだった。