キミと0センチ。

するとあっ君は急に口元に手の甲を当て、プイと目をそらした。


どうかしたのだろうか。


甘い匂いがそんなにダメだったか。

「あっ君?」

私が顔を覗き込むとあっ君は私から逃れるように顔を背ける。

ちょ、なんでそらすの!

ぐいぐい覗き込もうとするとしまいにはあっ君に「分かったからあんま見ないで」と
制される始末。

なんだと言うのだ。

もうこれ以上やるとあっ君の機嫌をそこねるだろうと踏んだ私はもう探ることはなさやめにし、
あっ君から頂いたりんご飴を美味しく咀嚼した。

口にコロンと転がる飴がじんわりと広がる甘さに舌鼓を打ち、
花火に備え移動することにした。

あっ君が「不意打ちだ…」
と言っていたがなんのことだかさっぱりだ。


空が暗くなりいよいよ花火の時間だ。
あれから一回も手を離していない。

これ、はたから見たらもしかしてカレカノではないか!

妹ではなか彼女として周りからは見えるだろうか。そうあってほしいな。