家の門の前には
ベージュのクロップドパンツ、
ティーシャツの上にデニムシャツを着てるあっ君が待っていた。

(私服おしゃれ!!!立ってるだけでこんなにかっこいいなんて…っ)

少し見える足首とか、
袖をまくって細身の腕に少しゴツめの腕時計とか、
どこも私の心臓を大きく動かす原因にしかならない。

「家の前にいないから昼寝でもしちゃってまだ準備出来てないのかと思った」

、なんて子供みたいに笑う姿がギャップがあってまたかわいい。

「ちっ違うよ!準備が遅れたのは事実だけど…」

あっ君のためにたくさんお洒落してた。なんて言えない。

じゃあ行こうか、というあっ君。

さすが祭りというか、
いつもはそんなに人通りが
多いとは言えない道も
今日ばかりはたくさんの人で溢れかえっていた。

祭りの会場にいくとそれ以上に混んでいて、
先ほどまでは並んでたわいもない話をしていた私たちも人の波にのまれ、
少しずつ距離が出来ていた。

そしていつのまにかあっ君の頭しか見えないくらいになってしまった。

(あ…、はぐれる…)

どうしよう、声を出すべきか。

でもこんなに人が多いところで大声を出すのは気恥ずかしい。

手を伸ばすがあっ君には届きそうもない。