今更、あっ君が一緒に行ってくれるとは思わない。

あっ君だって恥ずかしいと言うだろうに。

いくら幼なじみでもそこは越えられない。

「こうでもしないと幼なじみの壁は乗り越えられないわよ!」

なぜか昼休みを越えてからさえちゃんが妙に燃えている。


うーん、でもなぁ。

「今年こそ、関係を変えるんでしょ?」

そうだ。今年こそは十何年としてきた恋に終止符を打ちたいのだ。


「…そうだね。変えたい」

さえちゃんの言うとおりだ。こうでもしないと変わらない、交わらない。

決めた!

「わたしっ、あっ君を祭りに誘う!!」
「俺を何にって?」
「だからあっ君を祭りに誘…」







ん?さえちゃんの一人称は

だっただろうか。


そんなわけない。



ということは。

「ひょわ!あああああっ君?!?!!」

あっ君はいつの間にか私の後ろに立っていて、
私の手元のチラシを、見る。

さえちゃんはさえちゃんでニヤニヤしながら
ちゃんと言いなさいよ〜と

一言残し教室を後にした。

もともと最後まで残っていたのは私とさえちゃんだけだったから、

この教室にいるのは私とあっ君だけ。

なんだろう、ちょっとドキドキしてきた!
学園ラブってやつですか?!


「で?俺を何に誘うって?」
このチラシ見てたくせに言わせるのか!


「えっと、その〜…」
誘ってもいいのだろうか、


迷惑ではないだろうか。