一方通行の思いは表に出すより
このまま大事に心にしまっておこうと

俺は決めていたのだ。


ちいが、もし本当に好きな人が出来たら。


そんな日は死んでも考えたくないが、彼女の幸せのため。

笑顔で背中を押す準備はできている。

…いや、

さっきどこかへ走り去っていったように、

(俺にも、何も言わずに。背中を押さなくとも離れていくのだろうか)

そう考えるとえぐられるような胸の痛みに感傷的になった。

「本当に、面倒なんだから。」
雪村はそう呟いた。

うん、俺もそう思うよ。



ちいがいないのでもうこのクラスに留まる理由はない。
俺はじゃあな、と雪村に告げ教室を出た。



後ろで雪村が、
「誰が一方通行だなんて決め付けたのよ…」
とこれまた面倒くさそうに呟いていたことを俺は知らない。