もう何が何だか分からないまま、還梨や中ちゃんに支えられてベッドの周りに集まっている人込みから抜けた。


人込みを抜けると、もう優の眠るベッドは見えなかった。



『…失礼します。』



還梨が心配そうに私の顔を覗くと同時くらいに後ろの扉の向こうからか細い声がした。


がらがらと扉が開くと、さっきの看護婦さんたちがベッドに乗った秀を運んできた。



「…すいません、通して下さい。梅澤秀さん入ります。」



秀も優と同じようにたくさんの機械やらチューブに繋がれていた。


看護婦さんたちは、秀のベッドも優のベッドと向かい合うように綺麗に配置し、機材を丁寧に調整すると申し訳なさげに幸さんを見て言った。



「…両梅澤様のお母様少しお話があります。…来て頂けないでしょうか?」



控えめに目を伏せて、扉を開けて顔を出しながら幸さんを待っていた。