「…いった〜!!さすが、麗ちゃんよね……その怪力には頭が下がりますよ。」
「はぃ?親しき仲にも礼儀有りでしょ?も〜。」
幸さんの嫌味にお母さんは、笑いながら対応し優しく立たせてゴミを払ってあげてた。
「こんな頼りないお母さん見たら……二人が笑うね。」
「……いいんぢゃない?そんな、自分達が生きるか死ぬかって時にけらけら笑ったり冗談言われるより泣いてもらった方が、うんと生命の大切さを思い出すだろうし…それに、大事にされてたんだなって安心するぢゃない?」
幸さんは、お母さんのその言葉を引き金に泣き崩れた。
目をかけて、手をやいて、愛情を溢れるほど注いで。
育って大きくなるまでに、たくさんの時間を惜しみなくかけた子供が一人、いなくなるのがどれほど辛いか。
私には、まだまだこれっぽっちも分からないけど、今までいた人が突然いなくなって、その人がいた部分だけぽっかり色付かなくなる、あの感じは知っている。
お父さんがそうだったから……


