左頬を被っている、ガーゼに涙が染みて重たくなり、傷にも染みて痛かった。
それ以上に心が痛かった。
「…強がってまぁ、隠れて泣いてんの？」
突然響いた声にびっくりして顔を上げると、幸さんが青白い顔をして立っていた。
私は、とっさに顔を隠して片手で涙を拭った。
でも、拭っても拭っても溢れてくる涙を止めきれなかった。
「…煌、辛かったでしょ。ごめんね…？」
後ろから優しく包み込んでくれた幸さんの暖かさにまた涙が出た。
「…ごめんなさ…幸さんのほうが辛いのに……。」
「バカ、目の前でぐちゃぐちゃなうちの子たち見たら辛くないなんて嘘に決まってるでしょ？」
「んなことな……」
「噂によれば秀が好きみたいだしね♪…それに大河助けてもらったんだから誰も文句言わないわよ。」
暖かい幸さんの腕の中でその言葉を聞いて痛かった心が少し解けた気がしたし、少し恥ずかしかった。
