私的にそのほうがすごく楽だってこと、心兄には分かっちゃったのかと思ったけど、心兄は優しいから気を遣っただけだろうと自分を納得させた。


ひんやりとするトイレにはお情けのような暖房器具がちょこんと立っているだけで暖かさの欠片もなかった。


久しぶりに見た鏡の中には昨日までとは全然別物の《私》がいた。


ひどく怪我していた頭にはぐるぐると巻かれた包帯が、両腕にもガーゼやらバンドエイドがたくさん貼りついていて、一番目立つ左頬はでかいガーゼが隠していた。



「…格好悪ぅ……。」



鏡の中の自分を見つめながら、そうつぶやいた。


醜すぎて笑える、と心の中はいつも通りなのに、うまく笑えない。


ガーゼが邪魔して口元がうまく、上がらないんだ。


だんだん視界がぼやけてきて鏡の自分が見えなくなった。