「…淘が煌と同じ立場だった時、苦しいから、辛いから、悲しいからって…幸さんを前にして泣ける……？」
その一瞬だけ、幸さんが目を見開いてこっちを見た。
見開いた目からは、一筋の涙とかではなく大粒の涙が流れていった。
淘は、何も言えずに唇を噛み締めた。
「煌さえいなかったらって思ったけど、もう時計の針は戻らないんだよ？淘に何が分かるの？…どーしろってゆーのよ………。」
私は、頭を抱え込んだ。
私だって、泣きたい。
辛い、苦しい…悲しいよ。
けど。
泣いたって、何も変わらないし、結局優とも秀とも体を変えてあげることなんて出来ないぢゃない。
…今は無事を祈ることくらいしか出来ないぢゃない。
