「…そうとも、言えません。」
「じゃあ、何だってゆーのよ?!」
淘が赤くなった瞳で、ぎらりと、看護婦さんに食ってかかるように睨み、叫んだ。
「先程言ったように《お二人の》、『生命の保障はできません。』ですが、《お一人なら》生命の別状はなく、助けられます。」
幸さんは、啜り泣きながら口を抑えた。
淘は、何も言えずに看護婦さんを見続けている。
「はっきり言いますが、この問題は医師と患者の間ではもう終えているんです。あとは、お母様に了解を得るのみなんです。」
「え……?それってどうゆう…」
説得するように語りかける看護婦さんに幸さんは、頭がついていってなかった。
でも、その場にいたみんなにも同じことが言えた。


