「煌……」


「……え?」


「最初、優が好きだったみたい。…けど、今は自分が分からなくって。好きぢゃないって思い続けてきた秀にすごくドキドキしてんの。」



私は、控えめに両手をポッケに突っ込みながら、静かな、無色の朝に、言葉で色を付けようとしていた。



「逆に優には、何も感じなくなってる。…多分秀が好きなんだけど、はっきりとは言いきれないというか。……でも、どっちも好きだよ。」



私は、うまく言えない自分を少し恨みながら、唇を噛み締めた。


火照る顔を、隠しきれないまま、うつむいて。



「なんだ、両思いぢゃん。」


「多分だよ……!」



いつのまにか、人通りが多くなってきた大通りの交差点で私と秀は、ぽつんとつっ立ったまま、忙しく動き始めた一部の時間を止めていた。