けど、またその上から薄く薄く桜色より少し濃いピンクを重ねていく。
だんだん頬を隠すように、ピンクが薄く広がった。
『…ぢゃあ、煌もちょっと挑戦しよっかな…?』
淘の見よう見真似。
睫毛に絡ませたビューラーをゆっくり挟みながら上げていく。
簡単に見えるけど難しいその荒技は、皮肉にも私の睫毛ではなく瞼を捕らえた。
『いったぁあ!!』
『違うってば、もっとこうだよ?』
そう言いながら手首をうまく使い、ビューラーを使う真似をした淘が涙目の端に映った。
その後も言われるがまま、されるがままにゴテゴテとマスカラを塗ったくり、その派手さは淘には似合えども、控えめな私の顔にはいかにも不釣り合い。
そのまま、私は、入学式に出てしまった。


