『せっかくだし、 海に降りんぞ。』 秀のノートを見つめて、うん、と頷いた。 この絵馬のこと、忘れない。 すべてを忘れない。 崖をふと降りていきながら考えていた。 そして。 絶対にこの手を離さないようにしよう、と。 季節外れのビーチは、寒くて誰もいない、貸し切り状態だった。 しばらく潮風に吹かれながら、さらさらの砂を蹴りながら歩いた。 秀とビーチのど真ん中に座って、いつの間にか上がっていた朝日を浴びた。