もうすっかり温かい空気がなくなったお風呂場は肌寒く、秀がなぞった文字だけが浮かんでいた。


お風呂場から出て、脱衣所に行くと秀がさっきまでいた形跡が残っていて、胸がきゅんとした。



「煌姉?俺だけど。」



また、穹の声がする。


またさっきのことを思い出して、体中が熱くなり過剰反応する。



「今度は、何…?!」


「や、もう秀兄いないから。んな警戒すんなって。」



ほっとしたような、少し寂しいような複雑な気持ちだった。



「稔姉が、煌姉も少しは抵抗しろってさ。ま、煌姉くらいの年なら仕方ねーって俺は思うけど。ぢゃ、そんだけ、おやすみー。」



穹は、それだけ言うと部屋に戻った。


扉の向こう側で階段を上がっていく音がした。