私だけぢゃないんだ。 お父さんや淘や優を思い出にするのが怖いのは、私だけぢゃない。 お母さんだって、幸さんだって、婆ちゃんも爺ちゃんも心兄も穹も豊ちゃんも稔ちゃんも。 もちろん、千歳や大河だって。 みんなみんな、辛い。 その中でも、やっぱり秀が、一番辛い。 秀が、平気なわけ、ないんだ。 「婆ちゃん………めん、…ごめんね…。」 不意に零れた言葉に婆ちゃんは顔を上げた。 私は、もう、自分の中の何かが、崩れて止められなくなるのが分かった。