「煌ちゃんには、秀くんもいるんなし、お母さんは、婆ちゃんに任せなさいね…?」


「婆ちゃん……」



細々と続けていた言葉をせき止めるように、私は、静かに言った。


ゆっくりと、振り向いた婆ちゃんは、涙の溜まったしわくちゃの目を零すまいと突っ張っていた。



「煌は……、大丈夫。秀と約束、したから。…だから、泣いてもいいよ?婆ちゃんのことだから、煌のために泣くの、我慢してるんでしょ?」



その瞬間に、ほろりと涙が落ちていった。


顔を歪ませる婆ちゃんを見てなんて言ったらいいか分からなくなりながら、私は、箸を置いた。



「気をつかう必要なんて、ない。婆ちゃんは、今まで助けてくれたぢゃん。今度は、煌が助けてあげる。」



へたへたと座り込む、婆ちゃんを支えながら優しく言った。


私の胸元で呻くように声を詰まらせながら、口に手を当てて泣いていた。