少し冷える台所でひっそりと、晩ご飯を食べた。
台所に立って私のためだけに用意してくれる婆ちゃんの後ろ姿を見ながら、温められたおかずを口に運ぶ。
なんだか、寂しくなった婆ちゃんの背中に胸いっぱいの『ありがとう』を思いながら、自家製の雪下人参やキャベツのたくさん入った炒め物を噛み締めた。
「…煌ちゃん、あんた、気にせんでいいのよ。」
不意に、ぼそりと呟いた婆ちゃんの背中を眺めた。
小さくなった体は、震えていた。
「お母さんは……、あんだたちのお父さんが亡くなった時もあんなだったの。そんだに、簡単に立ち直れる子でねぇのよ、許してやっでね…?」
かちゃかちゃ、と皿の擦れあう音を聞きながらぼーっと、背中だけを見つめた。
冬は辛い水仕事には何も言わずに私の心配ばかり。
婆ちゃんは、いつだってそうだ。


