奥の部屋から出てきた婆ちゃんが少し窪んで潤んだ目を垂れさせながら、私の肩に手をかけた。



「おかえんなさい。お腹すいたがね?……今日は、煌ちゃんの好きな肉野菜炒めだすけね。」



いつも優しくてほんわりしてる、婆ちゃんすら、いつもと違う。


私を、居間から、追いやろうとする。


何が、何が、どうしたの?


婆ちゃんに押し出されて、冷たい廊下でぼんやりと見渡した居間の景色の端に、小さく心兄と穹が見えた。



「うらにっ…―!」



声をかける間もなく、固く扉は、閉ざされた。


明後日には、晦日を迎えて次の日に備えて大晦日を迎えなくちゃいけない。


そんな、家族行事がまだ、残っているのに。


これぢゃ、なんだかバラバラ…、すべてがバラバラな気がした。