私は、もう理解出来ないくらい、顔を真っ赤にしていた。


そう。


あのカーテンの裏に隠れた刹那、秀は、優しくキスをした。


少し唇が触れただけなのに体中が熱を帯びて、今にも溶けてしまいそうだった。



「?伊佐木さん?いつもより元気ないですけど。あ〜やっぱりお年頃よね、梅澤さんと離れるのが嫌だったんでしょう?」



若いくせに妙にオバサン臭いことを言いながらクスクス笑う看護婦さんの後ろで私の熱い体温が伝わらないといいけど、と妙にそわそわした。


ナースステーションの辺りで暗いから気を付けて、また来て上げて下さいね、と笑う看護婦さんにぎこちなく笑いながら、病院をあとにした。


歩くには億劫で、迎えを呼ぶには申し訳ない距離だから、仕方なく電車に乗った。


たまたま来た電車に乗り込むと、時間帯的にかほとんど人がいなかった。


こんな田舎だって、時間や日にちによってはそれなりに込む。


けれど、運がいいのか、偶然か、休みだというのに座れるのは嬉しかった。