秀の暖かい掌に甘えてただ、泣いていた。



「あの、すいません。そろそろ面会時間終了なのですが。」



やっと、落ち着いた頃、笑顔のままで看護婦さんが言った。


私は、会釈してそっと席を立つ。


秀が名残惜しそうに差し出した掌を捕まえて、バイバイ、と小さく言った。


看護婦さんは、どこか落ち着かなそうに扉の傍で待っている。


渋々、ベッドを離れようとすると捕まえていた掌が逆に捕まえられてあっという間に引き寄せられた。


ほんの、一瞬だった。


悪戯な笑みを浮かべた秀は、満足そうに私に手を振って送り出した。


紙に『また明日♪』と書いて。