「秀のりんご……本当に食べていいの?」 「大丈夫、あたしが許したから。遠慮しないの!」 稔ちゃんに、あーん、されて口を開く。 口の中で崩れたりんごは、甘酸っぱかった。 「秀………?!」 稔ちゃんのその言葉に後ろを振り向くと、何だか苦しそうに起き上がっている秀がいた。 事故にあってから、そんなに日がたってないからしょうがない、とは、思いつつもやっぱり様子が変だった。 「どーしたの?具合悪いの?!」 稔ちゃんが心配そうに、身を乗り出す。 秀は、首を振り振り、口をぱくぱくさせた。