「ほら、外寒いから中入んぞ。」 心兄がぽん、と頭に手をおく。 私は、うつむいたままこくんと、頷いた。 まだ、涙は出ない。 心臓の奥が、焦げ付くようにじりじりと痛いだけ。 一番、死を感じてるのは私のハズなのに。 《淘の死》も 《優の死》も 一番、近くで感じたハズなのに、私にその実感がないのかな。 心兄の濡れた後ろ頭や、いつの間にか広くなった背中を見つめてぼんやりと考えた。 心兄は、どう感じてんのかな…? 辛い? 苦しい? それとも……