「じゃあ、一旦失礼させてもらいます。」


「やだ、そんなかしこまらないで麗ちゃん!……あたしの我儘なんだけど、いつものあんたでいてよ……なんか、みんな離れてくみたいで寂しいぢゃない…」



私と淘の傍でお母さんが頭を下げて、幸さんと喋っている。


私は、半分その会話を聞きながら淘をちらっと見た。


どこを見てるか分からない、どんよりした暗い目で壁にもたれて立ってるのが精一杯そうだった。