土砂降りのように溢れてゆく涙をコントロールできないまま、ただただお母さんの胸を濡らした。
「……煌、人は何故、泣くんだと思う？」
「…悲、しから……？」
「ううん、あってるけどね？それ以外でも人は泣くでしょう？」
お母さんの問いかけに頭を悩ませながら、呼吸を徐々に整えた。
お母さんは、そんな私を見て少し微笑んでからゆっくり頭を撫で始めた。
そして、そのゆっくりなテンポで話し始めた。
「人が泣くのはね、心が渇くからよ。嬉しかった時は、幸せで心が渇くのよ。悲しい時は、辛くて心が渇くのよ。寂しい時は、苦しくて心が渇くのよ。だから涙は……心を潤す雨なのよ。」
お母さんは、ゆっくりゆっくり撫でていた頭に置いた手を優しくポンポンとリズムを取り始めた。
その頭を撫でていた手の代わりにお母さんの頭が私の頭の上に乗る。
